「いや、すまない。 フッと思い出してな。
あの時は、心配して見てたから」
あの時…?そういえば、課長ってあの頃から
私の事を気にかけてくれていたんだ。
でも、それだったら……。
「だったら、あの時に課長が声かけてくれたら
良かったじゃないですか?」
そうしたら、もっと早めに課長の事を知ることが出来たのに。
課長のいくじなし……。
「そういう訳にもいかないだろ。立場もあるし
下手に声かけるとお前らビビるし」
「それは、課長が普段から怒鳴ってるからです!」
キッパリと言い放つ。
だって…あの頃は、課長の事が怖くて苦手だったし
そんな風に思われているなんて夢にも思わないじゃない。
「今日のお前は、よく喋るな。まったく……」
すると課長は、ため息を吐くと苦笑いしながら
こちらを見てきた。ドクン…と心臓が高鳴ってきた。
「嫌ですか……?こんなお喋りな私」
ジッと課長を見つめた。頬も身体も火照って熱い。
それは、酔っているせいか分からないけど
「いや……悪くない。むしろ
早く声をかけるべきだったなぁと今さらながら思う」
「そうですよ!でしたら次は、課長が介抱して下さい」
「松井……それ。どういう意味か分かっているのか?」
えっ……?
きょとんと課長を見た。何を……?