そうしたら課長は、咳払いをしてきた。
でも、まだ耳まで真っ赤になってるのが分かる。
照れいるのだろう。

「とにかく、何処かの店に入ろう。
えっと…この前の小料理屋でもいいか?」

「あ、はい。」

 私は、すぐさま返事をした。
そのまま歩いて小料理屋に向かった。
 店に着いても何だか鼓動が高鳴って落ち着かない。
この前と違うメニューを頼みビールを飲んでいると

「さっきの…あまり男性に言わない方がいい」

「えっ?どうしてですか?」

 課長がそう言ってきた。
もしかして気に障ったのだろうか?
 どうしよう……怒らせちゃった?

「……男が変に勘違いをしてしまうからだ。
俺に気があるのかって…」

 えっ……?その言葉にまた頬が熱くなってしまう。
 じゃあ、課長に気があると想われちゃったのだろうか?
課長に対して……。
 だけど…そう想われるのが嫌だと感じなかった。
それより、ドキドキ鳴っている心臓がうるさい。

「もちろん勘違いだと分かっているが、あまり男性を刺激しない方がいい。
 思わぬトラブルになったりするから
君は、もう少し警戒心を持った方がいい」

「……はい。すみませんでした」

 ちょっと説教気味に注意をされた。
謝るが今度は、ズキッと心が痛んだ。
 やっぱり怒らせてしまっただろうか?
勘違いさせられたって……。
しゅんと落ち込んでしまった。

「あ、すまない。またいつもの癖で説教をしてしまった。
 別に君を叱りたい訳じゃないんだ……」

「……はい。大丈夫です……すみません」