「……俺は、考えていたぞ」
「……えっ?」
課長の意外な言葉に驚いてしまった。
今、旅行を考えていたと言っていたわよね?
聞き間違いではなくて……。
課長は、照れたのか窓から見える夜景を見ていた。
「いつかは、してみたいと思っていた。
デートプランを考えながら
だが、まだ間もなかったし急に旅行とか言い出したら
ガツガツしていると思われたくなくて、もう少しと先伸ばしにしていた。
まぁ、その間に海外に転勤になったり別れる事になったりしたが。
別れた当時は、もっと早く旅行に
行っておけば良かったと後悔したもんだ!」
私は、驚いて課長を見た。そう……だったの?
あのデートの時は、課長ったらそんな事を思っていたのね?
また新たな課長を発見することが出来た。
それは、嬉しい内容だった。
「フフッ……知りませんでした。言って下さったら良かったのに。
きっと驚いたけど、受け入れていたわ」
あの時には、もう課長の事が好きだった。
だから驚いただろうけど嬉しかったに違いない。
きっと承諾していただろう。
すると課長は、驚いて私の方を見てきた。
「本当か!?それは……」
「フフッ……はい」
私は、笑いながらも返事をした。
すると手で顔を隠す課長。
見ると耳まで真っ赤になっていた。
「うむ……ヤバいな。
嬉し過ぎて……自分でもどうしたらいいか分からん」
あまりの嬉しさにどうしたらいいのか、自分でも
分からなくなったようだ。
私は、それを見てクスクスとさらに笑ってしまった。
相変わらず照れ屋さんだ。
「こら。笑うんじゃない」
そう言うと私を背中からギュッと抱き締めてきた。
急に抱き締められドキッと心臓が高鳴った。