そして車に走ること……数時間後。
 疲れると危険になるからとサービスエリアで
交替したりしたが無事に目的地の旅館に着くことが出来た。

「うわぁ~素敵」

広々としていて高級感が溢れる造り。庭園も素敵だった。
 あれは、料亭だったけど、何だか課長と
初めてお見合いをした時のことを思い出した。
 フフッ…と思わず笑ってしまった。

「亜季。行くぞ?」

「あ、はい」

私は、慌てて課長について行く。
 部屋に案内されるとそこもまた広々としていて素敵な和室だった。

「素敵……あ、窓から綺麗な景色が見えるのね。
ほら、和季。綺麗でちゅねぇ~」

 私は、はしゃぎながら和季に話しかける。
和季もキャッキャッと喜んでいた。
 どうやら気に入ったようだ。
すると課長は、荷物を下ろしながら

「ふぅ……いろんな意味で疲れた。
 さてと、浴衣に着替えて旅館や庭を見学しながら
温泉にでも入りに行くか」と
ため息混じりにそう言ってきた。

「そうですね……」

 どうやら私の運転もあって余計に疲れたようだ。
申し訳ないと思いつつ温泉に入るのが楽しみだった。
 大浴場に向かうと和季は、いつものように課長に任せた。

 私は、1人のびのびと女湯に入った。
露天風呂になっており広々としている。
 外から見える景色も素敵だ。
中には、年配の人が多かった。

 身体を洗おうとしたら
隣の男湯から和季のギャン泣きが聞こえてきた。
 あ、また嫌がっている……。

「あらあら。元気な赤ちゃんだこと……」

 年配のお婆さんがクスクスと笑いながら話していた。
恥ずかしい……。
 私は、頬が熱くなってしまった。