そして数日後には、貰ったばかりの免許が届いた。
私と名前と写真が貼ってあり真新しい。
 何だか嬉しい気持ちになった。
そんな私に運転するチャンスが訪れた。

「おめでとうございます。1等の温泉旅行無料招待券です!」

 カランカランと鐘を鳴らされた。
今日は、商店街で買い物をしていたら福引き券を貰った。
 そして福引き券でクジを引いたら何と1位の温泉旅行が当たってしまった。

「嘘っ……やった。和季。温泉旅行が当たったわよ!」

「うっ……?」

意味の分からない和季は、きょとんとしていた。 
 まだ和季には、分からないだろうけど
私は、嬉しくてその夜。課長に話した。

「温泉旅行……?」

「はい。1泊2日なんですが、今度の休みに家族で行きませんか?
もちろん。私が運転します」

 こんなチャンスは、なかなかない。
高速に乗るのは、不安はあるがせっかくのチャンスだ。
 遠出がてら運転をしてみたい。

「うむ。悪くないな。
丁度仕事も一段落したところだし行ってみるか」

「はい」

 やった……課長にお許しを貰えた。
私は、その日を楽しみにしていた。
 そして待ちに待った土曜日になった。
いよいよ私の運転で温泉旅行に行くことに。

「本当に大丈夫か?何なら俺が代わるが……?」

「だ、大丈夫です。このために必死に練習をしたんですから」

 地図も覚えたし近くで練習もしたので大丈夫なはずだ。
私は、恐る恐るハンドルを握り車を走らせた。
 えっと……まずサイドミラーの確認。そして……。

「何だか、こっちまで緊張するな」

最初の段階で戸惑う私に課長は、心配そうにしていた。
 それでも何とか走り続ける。途中で課長に怒鳴られたりしたが
指示を出してもらい高速も乗る事ができた。