「あ、はい。すみません……」

 課長は、青柳さんを自宅まで案内した。
だが、やっぱりお互い気まずい雰囲気になった。
 どちらも無口で似たような性格のため
会話が続かなく無言のままただ歩いていた。

 そんな事を知らない私は、まだかまだかと待っていた。
すると数分後。ガラッとドアが開いた。
 あ、いつものように帰ってきたようだ。

「ただいま~」

「お帰りなさい」

 私は、慌てて和季を抱き上げてリビングから
出て玄関に行くと課長と青柳さんが一緒だった。
 思わない組み合わせに驚いてしまった。

「まぁ、青柳さんまで?いらっしゃいませ」

「……こんばんは。今日は、お招きありがとうございます」

「さっき駅で偶然に会って一緒に歩いて来たんだ」

 気まずそうに言う青柳さんに対して課長が説明をしてくれた。
 えっ?そうだったの……なんて偶然かしら。
やっぱり何かと縁があるらしい。

「まぁ、そうだったんですか?
フフッ……ゆっくりして行って下さいね。さぁ、どうぞ」

「……お邪魔します」

緊張気味に言いながら中に入ろうとする。
 すると抱っこしていたはずの和季が
「パパ、パーパ。パパ……パパ?」と2人を交互に
指を指しながら不思議そうに言いだした。
 似ている2人を見て不思議に思ったのだろう。
お互い顔を見合わせる2人。

「フフッ……確かにパパが2人居るみたいに見えるわね。
和季の場合は」

「そうも……似ているか?」