そして楽しみしていた水曜日だった。
私は、午後からご馳走作りに励んだ!
 母親にレシピを聞いて覚えた。
課長も青柳さんも和食が好きだから和食中心にしてビールなどお酒も用意する。

「早く来ないかしら?課長とどちらが早いのだろう?」

 時計を見ながらそんな事を呟いた。するとその頃。
課長は、仕事を早く終わらせて電車に乗っていた。
 降りる駅に着くと自宅に向かうために歩き出した。
そうしたらスーツ姿の男性がキョロキョロと道に迷っているようだった。

「あの……何をお探しですか?」

「あ、はい。すみませんが……」

 課長は、その男性に話しかけた。
その男性は、課長の方を振り向くが一瞬お互いに沈黙する。
 無理もない。お互いに似ているのだから。

「あ、えっと……この辺に櫻井さんの自宅があると聞いたんですが?」

 青柳さんは、住所が書かれてあるメモを差し出した。
課長は、もしやと思い慌ててメモを見た。

「あの……もしかしたら青柳さんって方でしょうか?」
その自宅は、俺の家です。櫻井亜季の夫です!」

「えっ?そうなんですか?あの…はじめまして。
青柳真一郎です。奥様には……その……」

「あぁ、それなら妻から聞いています。
 色々とご迷惑と助言をなさってくれたそうで
ありがとうございました」

 課長は、頭を下げてお礼を伝えた。
それに対して青柳さんは、慌てていた。
 まさかそんな風にお礼を言ってもらえるなんて
思ってもいなかったからだ。

「あ、いえ…頭を上げて下さい。
 俺は、あくまで気持ちを言ったまでで決断を出したのは、奥様です!」

「いえ……お陰で私達は、もう一度。やり直せる事が出来ました。
 あなたのお陰だと思い…深く感謝しています!
どうぞ。自宅まで案内しますよ!
 妻が張り切って待っていると思いますので」