意外……雰囲気だとエリートサラリーマンとかだと思っていたわ。
 あ、でも鬼教官とか似合いそう。
雰囲気的に……。そんな事を考えていた。

「悪いが、知っている人でも手を抜かないぞ!」

 キッパリとそう言われた。
うっ……内心を読まれたような気がして恥ずかしくなった。
 とりあえず気を取り直して車に乗り込んだ。

「まずシートベルトをつけてミラーと安全確認だ」

「は、はい。分かりました!」

 えっとまず……どうするんだっけ?
左右を見て。あと、それとあれ?

「落ち着け。まずエンジンをかけろ!」

「は、はい」

 そう思うのだが頭の中は、パニックになる。
上手くやろうと思えたば思うほど上手く出来ない。
 その焦りが余計に小さなミスを連発する。
もちろん青柳さんに大きなため息を吐かれた。

「こんなにテンパって下手な奴は、初めてだ!」

ガーン!!どうしようもないショックを受ける。
 いや自分でも最初から上手くやれるなんて
思っていなかったけどもう少しは、マシだと思っていた。

 私ってこんなに下手なの?
改めて認識すると余計に落ち込んでしまう。そうしたら

「まぁ初めてなんだし上手くやれなくて当然だ!
 少しずつ教えていくから覚えて行こう」と言って
励ましてくれた。

 優しい言葉をかけてもらい嬉しくなる。
今日の講習がこれで終わりなため帰る身支度をした。
 そして青柳さんに頭を下げてもう一度お礼を言った。

「今日は、ありがとうございました。
明日もよろしくお願い致します!」