「優秀だったんですねぇ~私なんて
この調子だと何回で合格するか分かりません」

「俺の場合は、たまたま向いていたからだ。
お前だって真面目なんだから、きっと上手くいく」

 そう言いポンポンと私の頭を撫でてくれた。
課長に久しぶりに頭をポンポンしてもらい嬉しくなる。
 特別に褒められた気分になり何だか照れくさくなってしまう。

「頑張って覚えて合格します!!」

「あぁ、応援しているから頑張れ」

 クスッと微笑んでくれた。何だかやる気が出てきた。
それから私は、今以上に勉強を頑張った。
 そして見事に学科試験を突破した。
落ちるかと思っていたから嬉しい……。

「良かったわね。櫻井さん」

「うん。ありがとう」

 一緒に教習所に通っている木田さんがお祝いの言葉を言ってくれた。
 木田さんとは、一緒に通って年も近いせいか
どんどんと仲良くなった。

 さて、後は……技能講習と試験のみ。
これで落とされる人も多いらしい。

「やっぱり実際に運転してみると難しいものなの?」

「えぇ、もう大変。見ているのとやってみるのとじゃあ
全然違うから覚悟した方がいいわよ!」

 そう言われてしまう。覚悟か……。
何だか余計にプレッシャーになってしまう。
 上手く出来るかしら?

 ココから担当の指導員の元で合格が決まる。
怖い人が当たりませんように……。
 そう祈りながら名前を呼ばれるまで待合室で待った。