しかし、しばらくすると「ふぇぇ~ん」と
和季の泣き声が聞こえてきた。
 どうやら起きてしまったらしい。

「……まったく。また、寝かせに行って来るか」

ため息混じりに課長は、リビングから出て行った。
 残念な気もするけど息子に振り回される課長も可愛く思ってしまう。
 思わず笑ってしまった。

 しばらく経ってもなかなか戻って来ないため
覗きに行くとベッドで一緒に眠っていた。
 どうやら疲れもあってか釣られて寝てしまったらしい。
スヤスヤと同じ顔が並ぶ。

 和季は、ギュッと課長の服を掴んで離さない。
仲のいい親子だなぁ~と思った。思わず笑みがこぼれた。
 私は、そのまま静かにドアを閉めた。

 それから数日後。いつものように課長は、和季とバトルをしていた。
 朝は、相変わらず賑やかだ!

 課長が会社に行くと家事を手早く済ませ私は、出かける準備をした。
 今日は、木田さんと一緒に教習所に行く事になっていた。私は、初体験だ。

 その前に木田さんと一緒に教習所近くにある
託児所に和季を預けに行く。
 小さな託児所だが、設備がしっかりしていそうだ。
聞いた話だと評判もいいらしい。

「じゃあ、しばらくの間よろしくお願いします。
和季。じゃあ、いい子で待っててね」

「ふぇ~ん。まんま~」

保母さんに和季を預けた。
 だが和季は、嫌がり私に抱っこを要求してくる。
うっ……。こうも泣かれると行きづらい。
 可哀相に思えてしまう。後ろ髪を引かれる思いだ。

「ごめんね。すぐに迎えに来るからね」

「小さい子って泣いて離れるのを嫌がるから
可哀相になってくるわよね」

「はい。もう何だか胸が痛いです……」

 木田さんの言葉に苦笑いする。
早く済ませて迎えに行こう……そう決心した。