「荷物の受け取りは、午後からだな。もう少ししたら来るだろう」
課長が腕時計で確認しながら言った。午後からか……。
片付けるのが大変だろうけど自分の住宅になるんだ。
そう思うと何だか胸がワクワクする。
これからが楽しみだ!
その後。課長の言った通りに午後から荷物が届いた。
美奈子も手伝ってくれて後片付けをした。
課長は、業者の人に細かくきびきびと指示を出していた。
私は、キッチンの方を担当した。
段ボール箱からお皿や鍋などを取り出し食器棚に並べていく。
和季は、邪魔にならないようにテーブルのそばに設置した
幼児用の椅子に座らせた。
「だーまんま……」
最初、機嫌良く椅子に座ったままオモチャを振り回して遊んでいたのだが
テーブルの上に乗り出してしまう。
「あ、こら和季。そんな所に乗ったらメッ!!
危ないでしょ!?」
「やぁっ!!」
慌てて抱きかかえようとするが嫌がる。
オモチャを投げ飛ばすと向こうにハイハイしながら行ってしまう。
「あ、ちょっと……」
それ以上行ったら余計に危ないから。
案の定。途中で上に乗せてあった軽めの段ボール箱に衝突する。
言っているそばから……もう。
「ふぇぇっ…ふぎゃああっ……」
「ほら、ママの言った通り危なかったでしょ!?もう……」
和季を抱き上げてなぐさめた。
よしよしとあやしながら辺りを見渡した。
段々と自分達の住宅になっていく。
生活感っぽくなっていく部屋が何だか不思議な気分になる。
これから私達が歩んで行く事になるのだろう。