「あ、あなたまで酷い。私そこまでそそっかしくないわよ」

 改めて言われるとショックだわ。
確かに少しは、そうかも知れないけど……。
 あの時は、たまたま浮かれていただけよ!
それは、それで情けないけど。

「それよりさ~亜季は、もう会社に戻る気とかないの?
辞めちゃったけど頼んだらまた一緒に働けない?」

 美奈子がそんな事を言ってきた。
また働くか……。したいのは、やまやまだけど

「ごめんなさい。勝手に辞めた手前もあるし
それに和季がまだ小さいし……」

 さすがに幼い息子を残して仕事に行く訳には、まだいかない。
 いくら託児所があるとしても……私は、
そこまで両立出来るほど器用じゃないし。

「それもそうか……残念だわ。
また、一緒に働きたかったのに」

「あ、見えてきたぞ。あそこが、新しく住む住宅だ!」

 美奈子の気持ちに嬉しくなっていると
課長がそう言って教えてくれた。
 課長の言った方向を見ると二階建ての一軒家だった。

「うわぁ~いいじゃない。素敵な家だわ!!」

美奈子が驚きながら言った。私もその住宅に驚いた。
 子供が居るからと購入したのだが自分だと
よく分からないため課長に全て任せてあった。
 古風だがお庭もそれなりに広いし
落ち着いた感じの造りになっている。 日本住宅だ!

「中古なんだが、構造もしっかりしてあって中もなかなか広い。
 庭もあるから和季を育てるのにいい環境だと思いココに決めたんだ。
 まぁ、俺も気に入ったって言うのもあるが……」

 少し照れながら課長は、そう言ってきた。
さすが、課長センスがあるわ。
 古風な家を選ぶところは、課長らしい。

「私も気に入ったわ。日本らしくて素敵です!」

 私は、そう言って褒めてくれた。
美奈子が駐車場に車を停めると中に入って行く。
 課長が言った通り結構広々としていた。