あれから私と課長は、結婚した。
 私は、慣れない環境に戸惑いながらも英会話スクールに
通い必死に英語を覚えた。
 そして、私達の間に新しい家族が誕生した。
息子の和季(かずき)だ。

 顔は、どうやら課長に似たらしく
最近の課長の悩みは、この子の将来の事らしい。
 顔が怖がられないか……心配だとか。
フフッ……昔の私達なら考えられない悩みよね。
お見合いで始まった私達だけど今は、とても幸せだ。

「お~い。亜季。課長~」

「あ、久しぶり~美奈子」

私は、嬉しくて同期で親友の美奈子に抱き付いた。
 美奈子とは、アメリカに行ってからも
こまめに連絡を取り合っていた。
 今でも信頼が出来る大切な親友だ!

「わざわざ来てくれてありがとう。
ごめんねぇ~迎えに来てもらって」

「いいわよ~私も久しぶりに会いたかったもん。
課長もお久しぶりです!」と美奈子は、
課長を見て頭を下げた。

「こちらこそ。本当に悪かったな、玉田」

「いえいえ。せっかくですから……さぁさぁ
向こうに車を停めてありますので」

 美奈子は、ニコッと笑顔で案内してくれた。
課長が、仕事の都合でまた日本に戻る事に。部長として……。

 そのため私達家族も日本に帰国する事にした。
そのまま美奈子の車に乗り込み新しい自宅まで送ってもらった。

「しかし、写メとかで見て知っていたけど
和季君って本当に課長に似てますよねぇ~?」

「まぁな。ある意味それが心配の原因だが……」

 後部座席で課長は、和季を抱っこしながら心配そうに言ってきた。
 クスクスと思わず笑ってしまう。
案の定。和季は、それを気にする事もなく外の景色に興味津々。
 窓をバンバンと叩いて覗いていた。

 だが、ブレーキの弾みで和季のおでこが
窓ガラスにぶつかってしまった。
 ゴンッともの凄い音が車内に響き渡った。