「……追いかけて来ました。やっぱり課長と一緒に居たくて」

「……えっ?どうして?」

 私は、驚いている課長と真っ正面で向き合う。
ちゃんと気持ちを伝えるために。
 課長は、まだ意味が分からないのか聞き返してきた。

「私は、自分の気持ちに嘘をついていました。
本当は、行ってほしくなかった。
 そばに居てほしかった。でも、部長になってほしくて
皆に頼られている課長を私のワガママで断れなんて言えなかった。
 だから……自分から身を引いたんです!!」

 ギュッとスカートを握り締め訴えた。
そうすると課長は……。

「それは、気づいていた。
 お前は、真面目だからな。ずっと見ていたから
俺のために身を引いたんだとすぐに理解した。
 悪かったな……俺のために我慢させて」

 申し訳なさそうに課長は、謝罪をしてきた。
課長に謝って欲しい訳じゃない。後悔した。
 自分の気持ちにずっと嘘をついて。

「私は、課長に謝って欲しい訳ではありません。
私は……それだとダメだって気づいたんです!」

「……松井……?」

「課長と別れて……ずっと後悔していました。
 寂しくて……何かをしていても課長の事を思い出して
だけど、ある人に言われて気づかされました。
 私は、ずっと課長に甘えていました。
自分から動かずに……ただ待っていただけ。
 それだけだとダメなんです!!
私は、課長が今も好きなんです。
 そのために仕事も辞めて追いかけてきました!」

「私から別れると言っておきながら
勝手な事を言っているのは、分かっています!
 だけど……忘れられないんです。
もう一度私にチャンスを下さい!!」

 震える身体を抑えながら必死に想いを告げた。
課長は、黙ったまま何も言わない。
 やっぱり虫のいい話だと思われているだろうか……?
課長の表情を見つめながら悲しくなっていく。
 だが、そうしたら……。

「悪い……嬉し過ぎてどうにかなりそうだ」

えっ……?