私は、飛行機でアメリカに旅立った。
目的地は、課長のところ。不安が無い訳じゃない。
 自分からフッた女を課長は、受け入れてくれるだろうか?

 受け入れてくれたとしても初めての環境とまともに話せない英語。
上手くやれるかも分からない。

「………」

 課長も私の気持ちを配慮して言わなかったのだろうか?
いや、きっとそう。私の仕事を応援してくれていたし。
 そんな事を思いながら、飛行機の窓から外の景色を眺めていた。

 課長……会いたい。それでも私は……もう一度。
飛行機は、何時間もかけてアメリカに向かって飛んで行った。

 そして無事にアメリカに到着する。
空港から出ると私は、地図と場所を書いたメモを見つめていた。
 会社の場所は、八神さんから聞いた。
そして詳しく場所を書いた英語のメモ。
 八神さんにお願いをして書いて貰った。

 彼は、私の決心を聞いて協力をしてくれると言ってくれた。
彼にも本当に悪い事をしたと思っている。
 私の勝手なワガママに……。

 タクシーの運転手さんにそのメモを渡し会社まで行ってもらう。
課長……待ってて。
 自分の気持ちを心に秘めながらタクシーで走り続けた。

 そして、しばらく走り何とか目的の会社に着いた。
課長が新しく勤めている会社は、凄く立派だった。
 ココで課長が働いているのね……。
会社の中に入ると受付で課長の所属している課を尋ねた。
 だが、下手な英語なためなかなか通じない。

「えっと……」

 この場合なんて発音をしたらいいの?
どうしよう……通じない。
 もたもたしていたら 「松井……?」と聞き慣れた声で
私の名を呼ばれた。

 この声は……まさか!?
パッと振り向くとやっぱり課長だった。会えた……。
 嬉しさが込み上げてくる。

「……松井。どうしてココに……!?」

 課長は、驚きを隠せないようだった。無理もない。
私は、別れを告げたのに課長に会いにアメリカまで来たのだから