私は、静かに前を見る。
甘えてばかりではいられない……課長に。
私は、やっぱり課長が好きだ。
「私……追いかけます。課長とやり直したいから」
もう後悔は、したくない。
ちゃんと課長に向き合って気持ちを伝えたい。
例え自分勝手だと言われたとしても……。
「……そうか」
青柳さんは、それ以上何も言わなかった。
食事を済ませてお店を出ると私は、頭を深く下げた。
謝罪じゃなくお礼を伝えるために。
「ご指摘ありがとうございました。私……目が覚めました!」
「どうやら、ちゃんと前を向く気になれたようだな」
「青柳さん……」
彼は、静かに微笑んでいた。
もしかしてワザと私を挑発して気づかせてくれたのだろうか?
後悔ばかりしている私の背中を押すために。
「もし、ぶつかってみてダメならまた、俺に連絡して来い。
相談でも愚痴でも聞いてやる」
「ありがとうございます!」
青柳さんは、そう言ってくれたが私は、笑顔でお礼を言う。
でも、大丈夫。私は……後悔したくないから
青柳さんは、とても素敵な人だった。
きっと……課長に会わなかったら、好きになっていたかも知れない。
だけど私は、課長が好き。今も変わらずに……。
だから、課長に自分の気持ちをぶつけるんだ。
後悔のないように。
それから私は、一身上の都合で会社を辞めることにした。
もちろん迷惑にならないように仕事の引き継ぎもしっかりする。
私が任された遊園の担当は、後輩に譲ることにした。
彼は、目を輝かせて喜んでいた。
念のために必要なアドバイスをいくつか教えておく。
そしてパスポートや飛行機のチケットを取った。
他の人から見たら、せっかくの担当なのにとか
考えなしの無鉄砲な事をしていると思われるかも知れない。
でも……私は、課長の所に行く決心をしたのだ!
美奈子も応援してくれている。