「満足……そんなの……している……」

 そんなのしている訳がない。
辛くて……今にも泣きそうだった。
 ずっと後悔してばかりで自分でも呆れるぐらい情けないだけだった。

「どうして、一緒について行かなかったんだ?」

 だって……。ついて来て欲しいと言われなかったし。
私には、やらなければいけない大切な仕事だってある。
 それを目標に今まで頑張ってきたし

「離れたくないなら無理やりでも一緒について行けば良かっただろ?
なのに……そんな事もしない。
 それは、新しい環境や不安。仕事を言い訳にして
他人任せで相手を信じていなかったせいだ!
 どこかで、やめてくれるんじゃないかとか
相手が動いてくれるまで待っていた甘えだ!!」

「………」

 青柳さんの言葉は、キツいが真実を言われているような気がした。
私は、課長に甘えていた……?

「自分から逃げているだけの奴が相手に振り向いて貰おうなんて考えが甘い。
 逃げるなら最後までぶつかってからにしろ!!」

 青柳さんの言葉にハッとさせられる。
私……今までどうしていたんだっけ?
 課長に誤解を解いた時も……初めて泊まりたいと
想った時も自分自身で動いていた。

 突発的だったとしても自分の気持ちに正直に生きてきた。
今の私は……?
 課長に対して正直に生きているのだろうか……?

 私は……何も伝えてもいない。
いや、しようともしていなかった。
 仕事をただ言い訳にして隠して、ひたすら嘘をついた。
自分の気持ちに対して……。

「やり直したいと思うなら動け。
君が動かない限り何も変わらない」

私は……。
ギュッと自分の手を握り締める。

「……まだ……やり直せるでしょうか?」

「さぁな……。そんなの俺に聞いても分からない。
で、どうするんだ?」