「あぁ、高校時代には、よく教師に間違われた」
教師…?高校生なのに……?
思わず勘違いされる姿を想像してしまった。
つい笑みがこぼれてしまった。
そしてハッとする。 これは、あまりにも失礼だと
さすがに不快に思ってしまっただろう。
「あ、えっと……すみません。つい」
「なんだ、ちゃんと笑えるじゃないか?
落ち込んでいるか作り笑いばかりしているから
ちゃんと笑えないのかと思っていた」
その言葉にハッとなる。
確かに課長の事ばかり考えているせいか笑顔になる回数が減った。
無理に作って笑う事が多くなっていたから
声を出して笑うなんてすっかり忘れていた。
もしかしてわざと笑わせてくれたのだろうか?
それとも……たまたま?
「あの……ありがとうございます」
「別に…お礼を言われるような事は、何もしていない」
ぶっきらぼうに呟きながら一口コーヒーを飲む
青柳さん。 だが、照れているのが分かった。
微かに目線を逸らしたから
あ、照れている……。
気づくと少し嬉しくなった。あぁ、やっぱり似ている。
心の中でそう思った。雰囲気だけじゃない。
無愛想の中にちゃんと優しさが隠れている所が。
笑うと何だか可愛いところとか。
心臓がトクンッと高鳴った。
これは、どちらに高鳴ったのだろうか?
そしてコーヒーを飲み終わると帰る事になった。
私は、自分のお金を出すため財布を取り出そうとする。
「いい……君の分も俺が払うから」
「えっ……でも……」
「泣かせた上に金まで払わせていたら男の面目が立たない」
そう言い私の分まで支払ってくれた。
泣いたのは、自分が原因で青柳さんのせいじゃないのに…。
何だか逆に申し訳ない気持ちになった。