結局、その後も話が盛り上がる事もなく終わってしまった。
 美奈子には、呆れられてしまったが
どうしても次の恋愛がしたいと踏み切れなかった。
 意外と自分は、未練が残る性格らしい。情けないと思うけど……。

 それから数日後。
何もないままただ時間が過ぎて行く。
 窓から外を見ると青空が広がり天気がいい。
課長…元気かしら?

 まだそう経っていないから変わらないと思うけど会いたいな……。
 別れを切り出したのは、自分のくせに会いたくて堪らない。
涙が溢れそうになりながらもただ青空を眺めていた。

 夕方。仕事が終わり駅近くを歩いていた。
あの小料理屋には、最近行っていない。
 行くと課長の事を思い出してしまうため遠慮していた。
トボトボと歩いていると向こうから見覚えのある人が歩いてきた。あれ?

 あの人は…?
合コンで出会った青柳さんだった。
 青柳さんも私に気づいた。

「あれ?あんたは……あの時の……」

「えっと……あの時は、失礼しました」

「あんた……また謝ってる」

 自分でもそう思った。
どうもこの人の前だと謝ってばかりだ。
 そこまで悪い事をした訳でもないのにどうしてだろう?

「……それより、元気出たのか?」

……えっ?
 意味が分からずに顔を上げた。
元気が出たのかってどういうことだろう?

「この前……沈んでいたから。
別に元気ならそれでいいが……」

 無愛想な言い方をする彼。でも元気ないことに気づいてくれたんだ?
 しかし目線を逸らす癖まで課長に似ている気がする。
ぼんやりと青柳さんと課長を重なり合わせた。
 そうしたらポタッと涙が溢れてきた。

「あれ……?私……どうしたのかしら」

 慌てて涙を引っ込めようとするが止まらない。
拭けば拭くほど悲しい気持ちが込み上げてきて涙が止まらなくなる。