「社長は、彼氏でも何でもありませんから。
 ただの社長ですから。だから私のことは、放っておいて下さい」

私が言い返したのが、いけなかったのか社長は、
さらに怒りだした。

「ほう……分かった。だったらお前は、またしばらく自宅謹慎だ!!」

「はぁっ?社長。いくら何でも酷過ぎます」

「酷いのは、どっちだ!?浮気をしたあげく彼氏ではないだと……。
 そんなふしだらな事をしておいて反省もしていないのか?
お前のその発言を撤回するまで自宅謹慎だ。
 いいな?よーく頭を冷やしてその男と別れて来い」

そう告げられてしまった。なんで、そうなるの!?
 自分は、不倫をしているくせに不倫は、良くて
私の浮気は、ダメってこと?なんて自分勝手な……。
 結局、散々喧嘩をしたあげく、また自宅謹慎になってしまった。

「それで、また大喧嘩をして自宅謹慎にされた訳なの?」

「だって~酷いじゃない!?
 自分だって不倫してるくせに人に浮気は、ダメとか言うんだもん」

恵美がまた自宅に来てくれたのでしくしく泣きながら愚痴った。

「よしよし。まぁ、不倫をしている人が言うのも
 どうかと思うけど、今が距離を置くチャンスかも知れないから気にせずにデートしてきたら?」

「……うん」

 今が距離を離すチャンスかもしれない。それに、どーせ。
自宅謹慎と言いながらもまた自宅に会いに来るだろう。
 そう……思っていた。

 しかし、今回ばかりは相当、怒っているのか社長が来なかった。
 おかしい……いつもの社長なら人の事情も関係なく押し掛けてくるのに……。
 もしかして、本当に嫌われちゃった?

 距離をおきたいし来たら、来たで謹慎の意味がなく
迷惑だから来ない方がいいのに……いざ来ないと不安になってきた。
 どれだけ社長に独占させられているのか分からない。

 社長に対する溺愛が凄過ぎて自分の感覚が麻痺してしまっていた。
 会いたくないのに……会いたい。