これでいい……新しい恋をすれば中途半端な関係も断ち切れる。
今度デートも約束した。お昼に映画を観ようと……。

 日中に人目を気にすることもなく堂々とデートが
出来るのは、普通の恋愛のいいところだ。
 稲葉先輩とは、それからラインのやり取りをするようになった。

 何気ないことも気遣ってくれたり優しい先輩は、理想の彼氏だ。
 社長と違う……。しかし、仕事の合間にスマホを見ていたら
ひょいとスマホを社長に取り上げられてしまった。
 あっしまった……!!

「稲葉……?誰だ……そいつは?」

「社長には、関係のない事ですから返して下さい。
ただの高校時代の先輩です。昨日久しぶりに会って」

 必死に取り返そうとした。しかし上の方に持つから取り返せないし
不機嫌そうにしている社長は、さらに不機嫌になっていた。

「はぁっ?お前…久しぶりに会ったぐらいの先輩と
何で、連絡を取り合いデートすることになるんだ?しかも男だし」

はぁっ!?社長にそんなことを言われたくはない。

「言い間違えました。先輩ですが私の彼氏になったんです。
 最近、会って付き合うことになりました」

負けずに私は、社長に真実を伝えた。
 隠すつもりは、無かったが気持ちが落ち着くまで言いたくなかった。

邪魔されたくないし。するとはぁっ?という顔をされた。

「お前……今、自分で何を言ったのか分かっているのか!?
彼氏だ……?彼氏なら俺だろーが」

 それに対して社長は、言い返してきた。
はぁっ?あなたこそ何を言っているのよ?