まさか……私は、困惑しているとクスッと稲葉先輩が笑い出した。

「佐久間さんって密かに狙っている男子とか多かったんだよ?
 美人でスタイルが良かったから」

び、美人!?私が?
 まさか稲葉先輩に言われるなんて思わなかったから驚いてしまった。

「まぁ、俺もその1人だったのだけど……」

 えっ……?今の言葉は、聞き間違い?
何か凄いことを言われたような……。
 思わない言葉に胸が余計にドキドキと高鳴ってしまう。

「俺さ……佐久間さんのこと気になっていたんだよね。高校の頃」

 えっ……えぇっ!?
そんなの知らなかった。
 いや、しかし稲葉先輩には、彼女が居たのに。

「えっ……でも、彼女さんが居ましたよね?マネージャーの……」

「……うん。当時付き合っていた。
 彼女……麗奈とは、付き合っていたが嫉妬や束縛が激し過ぎてね。
 正直別れようと揉めていた時に君を見つけた。
一目惚れって……やつかな?
 でも、彼女の目が合ったしなかなか決着がつかずに
ズルズルとなってしまい卒業をしてしまった。
 彼女とは、あれから進路も違うから別れられたけど
その時には、すでに遅かった」

 悲しそうに笑う稲葉先輩を見てあの当時に自分のしてきたことに後悔した。
 私達……思い違いをしていたのだと。
もし、あの時に告白をしていたら付き合えていたのかも知れないのに……。

「知りませんでした……先輩の気持ち……」

 まさか、今になってあの当時の告白をされるとは、思ってもいなかった。
 昔の私なら嬉しかった。なのに……胸がズキッと痛んだ。

「佐久間さんって……今、彼氏とか居るの?」

「い、いえ……まったく!!」