しかし社長は、ニヤニヤと笑っていた。
企んだように……。

 「おやおや。照れちゃったのかな?可愛い奴め……。
俺は、ただ君が愛し合う部屋を提供したまでだよ!」
 あ、そろそろ車が来るかな?行くぞ。夏希」

 社長は、言うだけ言うと勝手に外に出てしまう。
ちょっと社長!?
 誰が照れちゃったよ……勝手に部屋を提供しないで!!

 私は、慌てて追いかけた。
まったく……相変わらず人の話を聞こうともしない。
 ダメだ…やっぱり殴り飛ばしたい。

 この口を一生黙らしてやりたい。
怒りで身体が震えたのは言うまでもない。

「アハハッ~本当に最高。
あんた達の夫婦漫才。面白過ぎる」

「ちょっと笑わないでよ!?
こっちは、真剣に怒っているのだから」

 その事を少し経ってから、いつもの女子会で香奈子と恵美に話した。
ビールを片手に私は怒った。

「だってさ~ホテルの予約までしちゃってるのよ?
もうヤる気満々じゃん」

「むしろヤってあげないと社長が可哀相よ!」

 香菜子は、そう言ってきた。
可哀相って…あんた。
 これは、社長が勝手に予約しただけじゃん。
叶えてあげる義理は無いし。

 むしろそれを奥さんが知ったら奥さんの方が可哀相よ!!
夫が好き勝手に不倫しているのだから

「香奈子…無茶を言ったらダメよ!?
 相手は、家庭持ちなんだから。そんなの絶対に断るべきだわ」

 恵美は、そう言って止めてくれた。さすが…恵美。
まともな意見で安心する。