「そんなの行く訳ないでしょ!!
慰安旅行がしたいのなら、社内全体のがありますから
そちらに行って下さい」
もちろん私は、断った。これ以上
罪悪感を持ちたくないし、知られてしまうからだ。
「社内だと、なかなか2人になれないから嫌だ。
それよりも社長の俺と秘書の夏希が手を取り合い
今、以上の仕事をするためにも
まず親密な関係を作り上げないとならない。
そのための慰安旅行だ!」
まともな意見を言ってるように見せて
社長の場合は、ただイチャつきたいだけでしょーが!!
何が手を取り合いよ……あなたの場合は、触りまくりたいだけでしょ!!
「ちなみにもう予約済みだ!」
はぁっ!?ちょっと待て。もう予約済みって
私には、選択権はないのですか!?
私は、唖然とした。そんな勝手な……。
「そんなの困ります……勝手に予約しないで下さい。
私、行きませんからね!?」
「しかも喜べ。温泉旅行だ。
あ、観光用のパンフレットもいくつか取り寄せたから
計画を立てないとな」とさらに勝手に話を進めてきた。
「いや、ですから……例え温泉でも私は、行きま……」
「あ、もうそろそろ会議の時間だったな。
早く行かないと……あ~忙しい」
社長は、そう言いながらさっさと行ってしまった。
ちょっと人の話を最後まで聞きなさいよ!?
しかし社長は、そんなのお構いなしに毎日しつこく旅行の話をしてきた。
私に説得するのではなくてパンフレットを見ながら
温泉なら混浴だよなぁ~とかグルメ情報などを話してくる。
とにかくアピールをしてきた。よほど行きたくて仕方がないらしい。
慰安旅行って言い張ってるが、2人で行くなら
不倫旅行だと思われても仕方がないし。私は、正直戸惑っていた。
しかし、その迷いを打ち破ることが起きた。
それは、実家からの電話だった。
「えっ!?お父さんの工場の融資を社長が出した!?」
ちょっと待って。一体どうして、そうなったの?
私は、それを聞いて困惑していた。