「今、笑いましたよね?」

「いえ、笑っていません」

すぐにまた無愛想なキャラに戻った。あぁ、勿体ない。
 栗本さんは、無愛想ってより少し不器用なだけかも知れない。
何だかそう思えた。
 そして栗本さんは、自分の荷物をまとめ秘書課の方に戻って行った。

 居なくなると少し寂しい気持ちになったのは、
彼の心の中を知ったからだろうか。
 しかし、そうなると私と社長だけの関係が続く事になってしまう。
 それっていい事?悪い事?

 正直、困惑してしまった。
すると社長は、そんな私に気にすることなく後ろから抱き付いてきた。

「キャアッ!?急に抱き付かないで下さいよ!!」

 もう驚くじゃない。文句を言っていると社長は、気にすることなく
「もう誰も見ていないのだからいいではないか。
それよりまた、2人きりだな?夏希」と言ってきた。

 ギクッ!!何だか嫌な予感がしてきた。
逃げようとするも社長が強く抱き付いてきて逃げられない……。
 そんな私をいい事に社長は、ベタベタしてきた。
さらに増して、うっとうしくなっていた。

「離して下さいってば!!」

「ダメ~溜まっていた分の俺の愛を受け取るがいい。
 それよりも日頃から思っていたのだが
社長と秘書の親密さをより高めるためにも慰安旅行に行くぞ!」

 はぁっ?慰安旅行!?
社長……急に何を言い出すの?
 私は、唖然としていたが、すぐにハッとした。
それって……まさか!?

「社長……まさか私と社長の2人きりで行くってことですか?」

「当たり前だろ。他に誰が居る?」

 逆に聞かれてしまった。やっぱり……。
冗談ではない。それだと慰安旅行ではなくてただの不倫旅行でしょーが!?