許可をもらうと社長は、笑顔で高い高いをする。
お子さんは、キャッキャッと大はしゃぎだ。
「可愛いなぁ~僕。名前は?」
「……隆俊ですけど」
「隆俊か…いい名だ。隆俊早く大きくなれよ!」
そう言ってまた笑顔であやしていた。
社長の子供好きが見て分かるぐらいだ!
それに扱いが慣れていた。
お子さんもすっかり社長に懐いていた。
普段からあんな風に自分の子をあやしているのだろうか?
お客様もあまりにも楽しそうに子供をあやすので
拍子抜けをしたのか許してもらえた。
訴えるのをやめると言ってもらい一安心する。
これも社長の人柄のお陰だろう。
「よくあんな風に出来るんだ?
社長なのに自ら頭を下げたり笑顔で接したり」
栗本さんが不思議そうに小さな声で呟いた。
フフッ……普通ならなかなか出来ないことだろう。
プライドが邪魔をして……。
「社長は、自分のプライドや会社の名誉より
質や安全性を重視したいのよ!
だからそのための熱意が形となって現れているのだと思うわ。
あと……自分も子供みたいな人だし。
会社に大事なのは、そういうことではないかしら?
さて私らは、これからが本番よ!」
「えっ?」
驚いて見る栗本さんを無視して私は、スマホとタブレットを用意した。
秘書にとったらこれからが腕の見せどころだ!
すぐに今後のスケジュールの確認と調整しながら電話をする。
「あ、もしもし。新堂スター・コーポレーションで
社長秘書をしている佐久間ですが」
大体の調整が終わると車に戻りそのことを明確に社長に伝えた。
「この次に行く予定だった○○株式社の打ち合わせですが
日にちをズラす事は可能でした。
そのまま我が社に戻らず○株式社に直行すれば、
次の打ち合わせ時間には、間に合うかと」
「分かった。ならそのまま直行する!」