だから離して欲しい。裸を見られるのも恥ずかしい。
 なのに、そんな私の意見を聞かずに
またもやベッドの中に引きずり込まれた。

「ちょっと、社長退いて下さいってば!!朝ですから」

 あっという間に覆い被さってきた。
社長は、気にする事もなく私の首筋にキスをしてきた。
慌てて抵抗する。

「君は、自宅謹慎だから問題ないではないか。
今、食べないならいつ食べる?今でしょう」

何、意味分からないことを言っているんですか!?
 昨日の今日で敏感になっているため抵抗も出来ずに
そのまま抱かれてしまった。
 次に目を覚ました時には、すでに社長の姿はなかった。

  社長の馬鹿……。身体がダルいし腰も痛い。
何とか起き上がりシャワーを浴びに行こうとする。
 すると置き手紙が置いてあった。

『夏希へ。朝食作ったから食べておくように。
今日の夕食は、鶏の唐揚げを忘れるなよ!社長・新堂より』

 置き手紙を見たらガクッと力が抜けた。
やっぱり。今日も家に来る気なんだ?あの男は……。

 はぁっ?冗談ではない。
自宅謹慎にしておいて普通に夕食を食べに来ないでよ?
 大体…何がしたいのよ?新たな嫌がらせ?
恵美の言葉が頭を過ぎった。

これが、キッカケなのかしら?
 ブツブツと文句を言いながら見るとテーブルには、
美味しそうな和食が置いてあった。
一口、卵焼きを食べる。

「美味しい……」

 何よ社長も料理が出来るんじゃない。
奥さんにも作ってあげてるのかしら?
 そう思うと何だか複雑な気持ちになっていく。

 その後、シャワーと朝食を済ませて念入りに
掃除をして夕食の買い出しに行った。
 本当は、外に出たらダメなんだけど夕食の材料とか
足りないし多めに買うことにした。

 そして夕食の鶏の唐揚げの下ごしらえをして
社長の来るのをひたすら待った。だが、そこでハッと気づく。

「何で真に受けて待ってるのよ!?私……ったら」