「フフッ…夏希は、素直ね。あ、そろそろ奈々を迎えに行かなくちゃあ。
今、旦那の実家に預けてあるのよ!」
そう言うと慌てて帰る準備を始めた。
奈々ちゃんは、恵美の娘で2歳になる。
可愛くて私にも懐いてくれていた。
「もうそんな時間?今日は、わざわざ来てくれてありがとう」
「いいわよ。こういう時こそお茶をしなくちゃあね。
また、何かあったら連絡して頂戴」
恵美は、笑顔で言うと帰って行った。
愚痴を聞いてもらったら少し気分が落ち着いてきた。
大人しく待つか……。
一体どれぐらい待ったら社長の機嫌が直るのかしら?
お互いに顔なんて見たく無いと言っちゃったしな。
まだ怒っているだろうな。
そう思いながらキッチンに行くと夕食を作り始めた。
今日の献立は、カレーライスとサラダにした。
その夜。夕食とお風呂を早めに済ませて本を読んでいるとチャイムが鳴った。
一体こんな時間に誰かしら?
玄関まで行くと覗き穴からこっそりと覗いた。
社長?な、何で!?その人物は、社長だった。
自分から言っておいて……何故来るの?
気まずいし居留守を使おうかしら?いやいや。
自宅謹慎なのに居留守は、おかしいわよね。
私は、恐る恐る玄関のドアを開けてみた。