カチンと何かが、ぶちギレる音がした。
あぁ、そうですか……。

「分かりましたよ。私も社長の顔なんて見たくありませんから清々します!」

 ムカつく……分かったわよ!自宅謹慎したらいいんでしょ?
後悔しても知らないんだから。
 そして私は、しばらく会社を休む事になった。

「あらあら。よしよし。それで啖呵を切っちゃったわけね?
話を聞いてると随分と派手な痴話喧嘩になったわねぇ~」

「うぇ~ん、痴話喧嘩じゃないもん。一方的に言ってきたんだから」

 恵美に泣きついた。その事を愚痴ったら
心配して自宅に様子を見に来てくれた。
 だってつい売り言葉に買い言葉で……。
それに私は、何も悪くないわよ!?悪いのは、社長なんだから。

「売り言葉に買い言葉でしょ?
お互い負けず嫌いだからヒートアップしちゃったのよ」

「そんな事は……」と思ったが、そうなく事もないか……?
 だけど、社長をあれほど怒らした以上ただで済むとは思えない。

 普通ならクビを覚悟しないとならない。
あんなこと言った以上……謝るのも変だし。
 いや……それでも謝るべきなのかしら?

「恵美。どうしよう……?」

「まぁ、夏希が怒りたくなる気持ちも分かるし
ほとぼりが冷めるまで大人しくしていたら?
 聞いていると社長も鬼ではないみたいだし
気持ちが落ち着いたら何かしら、戻るキッカケをくれるのではないかしら?」

「そうかしら……?」

「えぇ、私の勝手な解釈だけど
あなたに好意があるなら……なおさらね」

 恵美にそう言われると納得してしまう。
恵美は、昔から落ち着いていて分析力に優れていた。
 そして、私の気持ちを理解してくれる。
3人の中で1番大人だった。

「……うん」