「嫌だ。手料理を食べさせてくれないなら
 今日の仕事全てキャンセルしてやる。
明日もだぞ?それでもいいのか」

 もう……またそんな子供みたいなこと言わないでよ!?
田所様の言葉を思い出す。やっぱり子供だ!
 すぐに駄々っ子みたいに拗ねるし無茶苦茶な事を言うのだから

「ハァッ…承知しました」

 諦めて承諾した。ココで断って仕事をストライキされても困るし
この男なら本気でやりかねない……。

「じゃあ、今日の夜に作ってくれ!」

「今日ですか?せめて明日にしてもらえませんか?」

 いや…部屋を片付けとかしないといけないし
色々準備をしないといけない。
 急に言われても困るしみっともないところを見せたくない。

「どうして?」

「だって、社長が来るなら部屋とか片付けたいですし
それに買い物だって」

「大丈夫。どんなに部屋が汚い部屋でもいいように覚悟しておくから」

「そんな汚い部屋ではありません!!」

 失礼ね。これでもきちんと整理整頓しているわよ!
ただもっと念入りに片付けて掃除をしたいだけ。
 そう言い返すが、ならいいだろうと言われそのまま承諾してしまった。
 何だか言いようにまとめられたような気がする。

 どうしよう…ただで済むとは思えない。
無邪気に喜ぶ社長を見てハァッ……とまたため息を吐いた。
 そして仕事を終わらせると社長と一緒に
食材を買い私の住んでいるアパートに向かった。

 ただしスーパーで買い物をしている時に
「新婚夫婦みたいだね」と言ってくるし
やたらにベタベタしてくるから困ってしまったが…。