社長室に入ると荒々しく背広をソファーに脱ぎ捨て
乱暴に椅子に座る社長だった。
私は、慌てて脱ぎ捨てた背広をハンガーにかけた。
すると社長は、ため息混じり
「夏希。ちょっといいか?」と呼びつけてきた。
「はい?何でしようか?」
背広をかけ終わると社長の前に向かった。
するとジロッと私を睨みつけてきた。
えっ?もしかして怒ってる原因って私?
私……何かしたかしら?
「お前さ…昨日、田所と食事をしたって本当か?」
ギクッと肩が震えた。な、何故それを知っているの!?
「どうして…それを?」
「さっきあいつが、わざわざ俺に報告して来やがったんだ!
夏希とラーメン食べて番号交換したってな」
うっ……と言葉が詰まった。
ちょっと田所様ったら何でわざわざ社長に話しちゃうのよ!?
そんなこと話したら変な誤解をされちゃうじゃない。
「それは…たまたま同級生の結婚式に出席した時に
偶然に会いまして…それで」
「それで、何で一緒に食事なんかするんだよ?
あいつ自慢げに話してきたぞ。
大体、連絡なんて俺が代わりにしてやるからいいだろ?
そうではなくてもあれほど、俺以外の男と
連絡を取り合うなと言ってあるのに……お前は」
ブツブツと説教を言ってくるではないか。
実は、例え取引先の連絡であっても社長は、私に番号を
教えるなとうるさい。仕事なら仕方がないと思うのだが……?
「申し訳ありませんでした」
何だか理不尽な言い分だけど謝るに越した事はない。
だが、まだ納得がいかない様子の社長だった。
「大体さ~何で俺が食事に誘うと断るくせに田所ならいい訳?
納得がいかんぞ!?」