だとしたら今の社長の奥さんは、社長にしたら
理想の女性だと言う事かしら?
 それとも政略結婚とかで上手く行っていないとか……?

「まぁ、俺とあいつは、性格が違うけど馬が合うんだけどね。
 だから、根は…悪い奴ではないから安心しなよ?」

 田所様は、そう言ってくれた。
そういえば、田所様って独身よね?社長と違って……。

「田所様って、何故結婚とかなさらないのですか?
モテそうなのに……」

「俺?まぁ、独身の方が気楽だしね。
こうやって君と気軽に食事にも行けるし」

 そう言いながらウィンクをされる。
思わず頬が熱くなってしまった。
 田所様って…やっぱりひょうひょうとしていて掴み所がない性格だ。

 だけど、社長より遥かに大人の考えを持った人だった。
落ち着いていて相手の事を考えられる人だと思う。
 食事を済ませると頭を下げてお礼を言った。

「今日は、お誘いありがとうございました」

「いや、こちらこそ。たくさん話せて楽しかったよ!
 あ、夏希ちゃん。今度もまた行ける時があったら食事に行こう。
良かったら番号教えてくれる?」

えっ!!田所様が私に連絡先を!?
私は、驚いてしまった。まさか連絡先を聞いてくるなんて……。

「は、はい。ちょっとお待ち下さい」

慌ててスマホを取り出した。そして連絡を交換し合う。

「よし、これでOK。じゃあ、またね。夏希ちゃん」

 ニコッと微笑むと行ってしまった。
どうしよう。連絡を交換してしまった。
 これって…もしかして好意をもたれたという事だろうか?