そんな私を気にする事なく社長は、ホテルの駐車場に停めると車を降りた。
そして、扉を開けてくれた。
「ありがとう…ございます」
お礼を言い降りるとそのまま腰に手を回された。
ニコニコしながら。何だかご機嫌な社長にこれ以上は、
何も言えなかった。
機嫌を損ねるとうるさいし……。
ホテルの最上階にあるレストランに連れて行かれると
オーナーが私達を出迎えてくれた。
そして奥の夜景が一望出来る席に案内してくれた。
「うわぁ~素敵な夜景」
「フフッ……恐れ入ります」
思わず口に出すとオーナーがは、クスッと微笑みながら
頭を下げてお礼を言ってきた。
ちょっと言った事に恥ずかしくなるが本当に綺麗だと思った。
以前来た時は、個室の所で会食だけだったし
そんなのを見ている暇はなかった。
席に座ると社長は、オーナーにスラスラと注文をしていた。
やっぱり行き慣れているのだろうなぁ……。
家族とも来たりするのだろうか?
それもそうか……奥さんだし。
そう考えると胸がズキッと痛みだした。
「どうだ?なかなかいい景色だろ?」
「…はい」
私は、素直に返事をした。
こんな高級なレストランになかなか行けるものではない。
ただ罪悪感は、あるけど……。
するとワインを持ってきてグラスに注いでくれた。
一口飲んでみると甘くて飲みやすかった。
「このワイン…飲みやすくて美味しいわ」
「それは、良かった。女性でも飲みやすいように
アルコールの少ないヤツだ」