「社長……いい加減にして下さい」

「ボーとしているから悪い。俺は、悪くない」

 あんたは、駄々っ子の子供か!!
心の中でそうツッコんだ。
というか誰のせいで悩んでると思ってるのよ!?

「気をつけますので、退いて下さい」

「嫌だ。やっぱり…ウチの秘書は、優しくない。
俺に冷たいし、ケチだし」

 嫌とか優しくないとか、もういい加減にうっとうしいわ。
社長の手を思いっきりつねった。すると痛がって離れてくれた。

「痛いよ…夏希」

「自業自得です。セクハラするからですよ。
それに誰のせいで悩んでいると思っているんですか!?」

「誰のせいだ?」

 社長は、きょとんとした表情で言ってきた。
あんただよ!
 私は、心の中でそうツッコんだ。

「まったく……。やっぱりデートは、取り止めませんか?
奥さんに悪いですし」

ずっと悩んでいた。やっぱり食事だけだとしても奥さんに悪い。
 すると社長は、アントニ○○○口調で
「大丈夫。愛があれば何でも出来る!」と言うだけ言うと
アハハッと笑いながら席に戻って行った。

 あんたは、アントニオ〇〇か!?
しかも呑気に笑っているし。
 私は、ハァッ……と深いため息を吐いた。

 奥さんの話題を出せばとぼけられるし、まったく人の話を聞かない。
 私は、まったくと思いながら呆れて見ていた。
 本当にセクハラとか無かったら
文句無しの素敵な人なのに、勿体ないわね。