何故だか立ち会い出産をしたいと言い張るため
このような形になった。
 旦那の社長でも無く……さすがに恥ずかしいからと断るが聞く耳を持たない。

 仕方がなく許可を出したが、感動をしている
彼を見るとまぁ、良かったのかも知れない。
 後で社長と両方の両親も駆けつけ初対面を果たした。

「ほら、見ろ。やっぱり女の子だっただろ?」

 社長は、得意気に言ってきた。
社長の執念は、凄いと思った。本当に女の子を授かるなんて……。

「そうですね。ところで名前は、もう決めました?」

ずっと社長とレオンが悩みに悩んでいた名前だ。
 すると社長は、横をチラッと見る。レオンは、照れくさそうに笑う。

「あのさ…俺の決めた名前でもいい?美優ってどうかな?」

「美優……?」

「うん。美しく優しい子に育つように。
色々調べて、この名前が1番気に入ったんだ!」

 目をキラキラさせながらレオンは、そう言ってきた。
美優か……確かに可愛らしくいい名前ね。

「素敵。ありがとう……レオン」

 私は、心からお礼を伝える。
社長も気に入ったのか美優を抱き上げると
「美優。美しく優しい子に育てよ!」と言って話しかけていた。

「あれ?ところで棗は?見当たらないのだけど……?」

「あそこよ……」

 母親が指差した方を見ると相変わらずベビーカーに座ったまま寝ていた。
 妹が産まれる一大事な時でも棗のマイペースぶりは、変わらないらしい。