えっ?そうなの!?私も驚いてしまう。ということは、
社長が帰るまで私と棗とレオンの3人だけってこと!?

「アホな事を言うな。お前は、前科があるんだから家に残しておけるか!」

 社長の言葉に思わず同意する。確かに。
二度も襲われそうになった以上、家に居られるのは怖い。
 恐怖がまだ残ってる訳だし……。

 だがレオンは、ケロッとした表情で
「大丈夫だって。もう襲ったりなんてしないし、大人しく待ってるからさ」と言ってきた。

「信用出来るか!?ほら、だったら俺の会社に来い」

「え~行きたくなーい!!ねぇ、それより時間大丈夫なの?」

時間を見るとすでに出勤時間が迫っていた。
 大変。確か大事な打ち合わせがあったはず、このまま
揉めていたら遅刻しちゃうわ!

「社長。レオンの事は、私に任せて行って下さい。
 栗本さんに小言を言われますよ?私なら大丈夫ですし。
反省したレオンなら心配ないと思いますから」

 とにかく私やレオンの事より会社を優先して欲しい。
大事な打ち合わせに間に合わなくなったら大変だわ。
 何とか社長を説得して仕事に向かわせた。
 正直、絶対大丈夫だと言い切れないけど
レオンも反省してる訳だし疑うのも可哀相だわ。

 その後。少し警戒をしながらも部屋の掃除をしていると
レオンは、寝転ぶのをやめてパソコンを起動し始めた。

「……何をしているのですか?」

掃除機のスイッチを切り覗き込んでみた。
 すると天才だと言われているだけあって 
凄いスピードでパソコンのキーボードを操作していた。

「うん?我が社の株の確認と現状確認。
 ほら、ウチって…後継者で社長は、兄貴だからさ
俺の仕事は、主に我が社の現状確認及び
邪魔者をする相手を調べ上げて潰すこと。まぁ、陰の支配者ってとこ?」

 レオンは、サラリとそう言ってきた。
今……さり気なく凄い事を言ったわよね?邪魔者を調べ上げて潰すって……。