「あ、こら。それは、俺の唐揚げだ!!
お前のは、さっきあれだけ食べただろーが!?」
「あれだけは物足りないよ。夏希の作った唐揚げ美味しい」
「人の嫁の手料理を無断で食うな!!」
ギャーギャーと怒り出す社長に私は、ハァッとため息を吐いた。
どうやら彼女の取り合いは、平気でも好物に対しては、マジ切れする社長だった。
それを見てレオンは、面白がっていた。
やっぱり小、中学生ぐらいの兄弟喧嘩を見ているようだ!
私は、呆れながら自分の席に座った。
「やれやれ。困ったパパとおじちゃんですねぇ~」
そう言って隣に座っている棗を見てみると
あ、食べながら寝ているし…。
棗を見ると右手に幼児用のスプーンを握り締めたままウトウトと眠っていた。
「棗~起きるか、食べるかどちらかにしなさい!!」
慌てて起こした。ハッと目を覚ましご飯を食べ始めるが、数秒後。
またウトウトと繰り返していた。ダメだ……睡魔には、勝てないようだわ。
しかし、よく寝るわね……この子は。
我が子ながら心配しているとまだ喧嘩を繰り広げる社長とレオン。
我が家は、相変わらず賑わしい。
何だか3人の子を持つ母親になった気分だった。
翌日も朝からそんな感じだった。
社長は、レオンと散々揉めた後、いつもの通りに会社に行く準備を始めた。
「レオン。お前も仕事があるだろ?さっさと支度しろ」
社長がそう言うがレオンは、のんびりとソファーで
くつろいでいた。漫画本を読んでいる。
「え~俺、別に責任者じゃないから出勤しなくていいし。
仕事なら携帯とパソコンあれば、自宅でも出来るから問題ないし」