「何か勘違いをしているようですが私が欲しいのは、彼の財産です。
 奥さんに興味なんて無いし。それにすでに離婚調停になっています。
 離婚するのも時間の問題なのに、わざわざ自分から
潰すような馬鹿な真似をしたくありません。
 何のために子供を産んだか分からないじゃない」

 ワザと悪女を演じ切ってみせた。
自分で言っておきながら何とも最低な女だと思ったぐらいに。
 これぐらい言えば諦めてくれるかしら?
だがしかし……。

「アハハッ……それはいい。とんだ悪女だ!!」

 逆に大笑いされた。そこまで笑う事ないのに……。
何だか腹が立ってきた。
 でも、我慢よ……自分。これも家族を守るためよ!

「だから、余計な真似をしないで頂けますか?
計画の邪魔ですから」

 ニコッと微笑んだ。どうよ……これで
私の勧誘しても無駄だと分かったでしょう?
 だがレオンと言う男は、そう甘くなかった。
いや……むしろ彼のやる気を出させたかも知れない。

「いいねぇ~君。他の馬鹿な女と違って気に入ったよ!
 俺さ、秀一の奥さんとか実際に興味ないんだよねぇ~。
ただ秀一の女だから奪いたいだけだし。
 だけど…あんたは、違う。秀一の奥さんを手に入れるのやめてあんたを手に入れる事にするよ!」

 はい?何を言い出すのだ…この人は!!
な、何でそうなるのよ?意味が分からない。

「だってさ、それってつまり奥さんを奪った所で
俺にメリットがないって事じゃん?離婚間際の夫婦なんて。
 だったら、愛人として秀一が虜になっている
あんたを狙った方がメリットになるし。何より興味がある」

 そう言うとレオンは、ニヤリと笑った。
その笑みに思わず後退りする。やばいと思った。
 しまった。やる気を出させてどうするのよ!?
これでは、むしろ余計に厄介な事になっただけじゃない。

「そんな事しても無駄よ!?
私、財産を社長から奪ったらさっさと別れる気だし意味がないわ」

何とかそう言って誤魔化そうとするがレオンは、さらにニヤリと笑った。

「そんなの奪ってから考えればいいよ!
言っただろ?俺は、あんたに興味があるって」

 ダメだ……。完全にターゲットが私になっている。
どうしたらいいか分からずに戸惑ってしまう。