得意気に笑っていた。そういえば、社長が言っていたわね。
彼は、IQが180以上もある天才だって……。
 何を企んでるか分からない以上隙を見せてはいけないような気がするわ。
警戒をする私に彼は、近づいてきた。

「あんたさ……社内の噂、最悪らしいじゃん?
あの秀一を誘惑して愛人の座につき子供まで産んでさ
 財産目当てか?まぁ、あいつが結婚してたのも驚きだけどさ」と言ってきた。

 まんまとそっちを信じているようだった。
ただの噂話を信じるなんて意外と馬……いやいや。
騙されやすいのかしら?

 本来なら今すぐにでも違うと誤解を解きたい。
だが、冷静に考えると誤解を解く方がまずいような気がするわ。
 彼は、社長の愛人としての私に近付いてきている訳だし
何か企んでいるのかも知れない。

 なのに妻だと知ったら何をされるか分かったものではないわ。
ココには、棗が居るしあまり騒ぎにしたくない。
 仕方がないので、あえて愛人のフリをすることにした。

「それで、社長の愛人と知りながら私に何の用です?」

「おや……?あんまり動揺しないんだね?
 さすが愛人に居座るだけはあるな。
だったらさ……俺と手を組まない?あんたも財産目当てか
 それか、ただ社長を愛しているのなら奥さんとか邪魔だろ?」

なるほど。どうやら仲間としての勧誘らしいわね。
 愛人で奥さんを邪魔だと思っている私を仲間に引き込み……社長を追い込む気かしら?
 確かに。方法としては、いい手かも知れないわね。
私が、その妻ではなくて本物の愛人だったらだけど。

「フフッ……面白い事を言い出しますね?
私があなたと手を組めだなんて」

「悪い話ではないと思うけど?俺は、秀一を陥れたい。
 君は、奥さんが邪魔に思っている訳だし
だったらさ……俺があいつの奥さんを誑し込むから。
 その間に奥さんの座を奪ったらいいじゃん?」

 名案とばかりに私に言ってきた。何とも自己中な発言だ!!
私が、その状況だったら怒り狂っていただろう。
 ぶん殴りたいって……。

 落ち着け……自分。冷静に対応しないとボロが出るわ。
私は、ニコッと微笑んだ。

「残念ですが……お断りします!」

「何故だ?いい案ではないか!?
あんただって奥さんの事が気に食わないのだろ?」

それは、あなただけですから。