「あの…はい。すみません」

 唐突の田所様の言葉に私もハッとした。
そうだった。香奈子は、決着をつけるつもりのはずだ。
 田所様の気持ちに対して……。

「謝る必要なんてないよ。だって、それ君の勘違いだし」

「えっ……?」

 えぇっ?勘違いって…どういう事なの!?
頭が混乱する私と香奈子だった。
 すると田所様は、ニコッと笑った。

「多分君が見た女性は、俺の姉貴だ!
しかも2番目の姉貴の方のね」

2番目の姉貴って田所様ってお姉さんが居たの!?

「お姉さん?田所さんは、お姉さんが居たの?」

「あぁ、居るよ。俺4人姉弟だからね」

よ……4人姉弟!?
 田所様は、てっきり一人っ子だと思っていたから
かなり驚かされた。まさかのお姉さんだった。

「あぁ、あいつは4人姉弟の末っ子だぞ?」

 それを見ていた社長は、さらりと教えてくれた。えぇっ!?
田所様って末っ子長男だったの?
 女所帯だったのも驚きだが……。
どうやら驚いたのは、私だけではなかった。香奈子も驚いていた。

「あの……まさかお姉さんだったとは、驚きました」

「あぁ言って無かったからね。こちらこそ…ごめん」

田所様は、素直に謝罪をしてきた。
 つまり香奈子は、昔の私と同じ早とちりをした訳だが
なんとも紛らわしい。