「ちょっ…社長。静かにして下さい!!
田所様が来たんですから」

「お前なぁ……このためか!?
俺をデートに誘ってきたのは……」

 横でショックを受けている社長を無視して覗き込むと
田所様が香奈子の所に現れた。
 こう見るとやっぱり2人は、お似合いだ!

歩き出したので、そのまま後をつけた。
 エレベーターに乗り向かった先は、高級そうなレストランだった。
 私と社長は、話が聞こえるギリギリの距離に
こっそりと座り注文をすると様子を伺った。

「あの……夏希が何か言ったそうで、すみませんでした」

 香奈子が代わりに謝ってくれた。
私の代わりに謝ってくれた香奈子に何だか申し訳ない気持ちになった。

「いや、いいよ。夏希ちゃんは、友達思いのいい子なんだね。
君の事を凄く心配していた」

「はい。たまに早とちりな所もありますが
友人思いの優しい子なんです!
 私のために動いてくれて、だから許してあげて下さい」

「そっか……って事は、香奈子ちゃんもいい子だって事だね」

 田所様は、クスッと微笑みながらそう言ってきた。
何でそういうことになるのだろうか?
 私も香奈子も意味が分からずにきょとんとした。

「君だって、もしかしたら大きなお世話だったかも知れないのに
友人のために頭を下げた。
 そういう所は、夏希ちゃんと同じぐらい優しくていい子だと
俺は、思うけどな」

「いえ…夏希は、本当にいい子なだけで。私なんか……とても」

 香奈子は、耳まで真っ赤にしていた。
私は、感動で涙が溢れそうになった。
 こんな私に優しい2人。本当にいい親友を持ったと思う。

「それより本題なんだけどもしかして見たの?
俺が女性と歩く姿を」