『ありがとう。じゃあ、仕事があるから切るわね?』

「あ、待って。ちなみに何処で待ち合わせなの?
場所とか気になっちゃって」

『えっ?えっと…ウィルソン・ロイヤルホテルよ!
仕事が終わってから待ち合わせなの。じゃあね』

 なるほど。ウィルソン・ロイヤルホテルか。
私は、お礼を言うと電話を切った。
 そして、慌てて社長の携帯に電話をする。
口出しをする気はないけどやっぱり気になるもの!!
 社長に今夜そこで食事をしないかと誘ってみた。

『……ウィルソン・ロイヤルホテルだと食事だと!?』

 デートには、大変乗り気になるが
何故だかホテルの名前を聞いた社長は、驚いていた。
 えっ?そんなに驚くこと?

「社長…?どうかなさいましたか?」

『いや、分かった。俺から手配をしておこう』

そう言うと電話を切られた。変な社長ね?
 すぐにいつもの口調に戻っていたが
何だか行きたくないような反応だった。気のせいかしら?
 私は、不思議に思いながら首を傾げた。

とりあえずこれで…良し。
 後は、申し訳ないけど恵美に連絡して棗を預かってもらえないかと頼んだ。
 恵美は、快く引き受けてくれた。

 そして私は、夜になると社長と待ち合わせをして
そのままホテルに向かう事に。
 車からウィルソン・ロイヤルホテルが見えてきた。
他のホテルより明らかに大きく立派だ。
 何より豪華でお洒落な感じだった。

「凄いホテルですねぇ~綺麗で豪華だし」

「あぁ、そうだな。見た目は、いいんだよな……ここは」

 しかし社長は、何だか不愉快そうに返事をしてきた。
やっぱり社長の様子がおかしい。
 何かこのホテルに因縁でもあるのだろうか?
意味が分からないため困惑する。
 しかし、その間にもホテルに着いたので私達は、車から降りてすぐさま香奈子と田所様を捜した。
 あ、居た居た!!
香奈子を見つけるがお洒落な格好をしてメイクもバッチリだった。
 彼女の真剣さが伝わってきた。

「何だ?香奈子ちゃんも居るじゃないか?」