その言葉に言い返せ無かった。ごもっとも過ぎて。
 確かに香奈子の心配するのが真実だったら
わざわざ親友に頼んで忠告させたとか、悪い風に取られてしまう。
 逆だったとしても香奈子には、ありがた迷惑だったかも知れない。

 私は、しゅんと落ち込んでしまう。しかし社長は、
「だが…ふ~ん。なるほど。田所がそう言ったのか。
 これは、ちょっと見物だな」とニヤリと何だか楽しそうだった。
 笑う所ではないと思うのだが?

「社長。楽しまないで下さいよ。
香奈子は、真剣に悩んでいるのですから」

「フフッ…これを楽しまない手はないだろ?
田所がそろそろ動き出すという事なんだから」

はい……?
 何を言いたいのかサッパリと分からなかった。
だが、勘のいい社長の事だ。何か気づいているのかも知れない。

「それより社長。ブログ……。
まだ消してなかったんですか?」

「さて、風呂にでも入ろう……」

あ、また話を逸らそうとしている!!
 その後もギャーギャーと騒いだが香奈子と
田所様の仲が気になって仕方がなかった。
 なので翌日。私は、香奈子に電話をした。
田所様の事で謝るために…。

「そういう訳で、ごめんね。勝手な事をして…」

『ううん。いいわよ!
 夏希が私のためにしてくれた事なんだし逆にありがとう。
私が決着つけないといけない日がきたのよ。
 気にする必要なんてないわ。
それにね?田所さんから電話があったの。
 今日良かったら一緒に食事をしないかって』

「えぇっ!!そうなの!?」

『うん。この際だから私自分の気持ちに
決着をつけようと思って頑張ってみるわ!』

 あの後に田所様が香奈子を誘ったのも驚きだが
気持ちが吹っ切れたのか明るい口調で話す香奈子にも驚いた。
でも何だかカッコいい。

「うん。応援しているから頑張ってね!」