社長は、気にすることなくデジカメを確認中だった。
聞こえてるでしょ!?聞こえてないのに返事しているし。

「社長。お願いだから消して下さい」

「はいはい、後で消す……おっと。この写真は……レアだな」

レア……?
 社長の行動がたまに意味不明だ。
それからもたまに棗の育児中に気づくと私にデジカメを向けていた。
 そういえば前もそんな気配がしたような……?

 特に酷いのは、私が棗をお風呂に入れるため一緒に
入浴している時に撮ってきた。
 突然入って来て「はい、チーズ」と言われた時は、驚いてしまった。

「キャアッ!!ちょっと~社長!?」

 裸の上に両手は、棗を抱えているため隠すことも出来ないし
どうする事も出来なかった。
 それに構わずに社長は、写真を撮ってきた。

「記念、記念。これは、激レアだな。後で保存して……」

 何が激レアなのよ!?
社長は、ご満悦の様子でニヤリと笑うとさっさと引っ込んでしまう。

「ちょっと…保存って何ですか?社長ー!!」

「ふぇ…ふぇぇ~ん」

「あ、ごめんねぇ~大声出してびっくりちまちたねぇ~」

 大声を出したから驚いて棗が泣き出してしまった。
慌てて私は、棗をあやした。
 あのデジカメなんとかして取り返さないと……。

 急いでお風呂を済ませると着替えてリビングの方に向かった。
デシガメを取り返すために。しかし……。
 あれ?何処に行ったのかしら?
いつもならリビングで、くつろいでいるか仕事をしているのに。