「何……女の子は、2人目って手がある。
それに男だって自分の子だ。可愛いに決まっている」

「そうですね……」

社長の顔つきは、優しい父親の表情だった。
 私と社長の子供。愛おしいと想うのは当然のこと
だけど、家族と喜び合える空間がとても嬉しい。
 その後の社長は、子育てに凄く協力的だった。
 おしめを交換したりお風呂を入れてくれたり、だから
私もすっかり社長の疑惑を忘れていた。この時までは……。

 数日後。恵美と香奈子がお祝いに駆けつけてくれた。
香奈子は、大興奮だった。

「キャー小さ~い。可愛い~顔は、父親似かしら」

「うん。どうやら社長似みたいで…良かったわ。
私似ではなくて」

「え~夏希似だって、美形に育ちそうじゃない。
とにかく将来有望よ……この子」

有望ねぇ……何だか照れくさいわね。
 そうすると恵美が心配そうに
「夏希は、身体大丈夫なの?早産だったし
身体を安静にしてないとダメよ!」とそう言って気遣ってくれた。

「うん。少しの間、休めたからだいぶ身体がラクになったわ。
 はい。お茶淹れたからどうぞ」

 お茶をソファーのテーブルに置くと私と恵美は、席に着いた。
香奈子は、すっかり棗に夢中だ。

恵美は、さすが母親経験があるせいか余裕の表情だった。

「可愛い~ねぇねぇ抱っこしてもいい?」

「いいけど……首座ってないから丁重にね?」

「大丈夫。恵美の子供で経験してるから」

香奈子は、そう言うと嬉しそうに棗をソッと抱き上げた。

「あ~ん。命の重み。私も早く自分の子供が欲しいわ」