コソコソと私は、会社の中の情報を探っていた。
 私とバレては、まずい。そうではなくても嫌な噂が流れているのに……。
 しかし私が居ない間に綺麗な女性と不倫なんかしていたらどうしよう。
 何だか不安になりながら辺りを見渡していた。
だが、思わぬ人物に発見されてしまう。

「何をやっているのですか?佐久間さん」

 ギクッて身体が震え上がった。振り返ると栗本さんだった。
何故、分かったの?完璧のはずなのに。

「ひ……人違いです。私は、ココの社員ですから」

「……どう見ても佐久間さんですよね?
 そんなにお腹の大きい社員は、産休に入っているはずですし」

 うぅっ……相変わらず鋭いというか無愛想な人だわ。
仕方がなく慌てて彼を人気のない場所に連れて行った。

「どうしたんですか?臨月間近なのに…社長に何か?
 仕事の事でしたら心配いりませんよ?
俺がそばで、しっかりと把握していますし」

「それは、安心してます。栗本さんが居ますから」

「なら、何の用で……?」

う~ん。愛人居ないかの偵察なんて言いにくい。
 これを聞いたら変に思うかもしれないけど
栗本さんなら何か知っているかも……。

「あの……最近。社長の周りに変わった様子とかありませんでしたか?」

「変わった様子ですか?別に社長は、いつもと変わっていますし」

 いや、それは私も知っているけど……。
栗本さんにどうやって聞いたらいいか悩んでしまう。すると

「何があったか分かりませんが社長は、 いつもあなたの事を考えていると思いますよ?
だから安心して下さい」