考えれば、考えるほど不安になっていく。
明日は、我が身かも知れない。
 そう思うと落ち着いてなんかいられなくなる。確かめなくては……。
 その夜。いつもより遅い時間に社長が帰ってきた。

「お帰りなさいませ」

「ふぅ~会議で仕事が長引いた。
 今のプロジェクトが終わるまでは、この時間になるかも知れない」

 背広を脱ぎながら社長は、そう話してきた。
聞いてもいないのに……。怪しい。
 私は、警戒しながら背広を受け取るとタンスの中にかけた。

「承知しました」

「風呂、沸いているか?」

「はい、でも冷めているので。
もう一度、沸かし直しておきますね」

すぐに入れるように支度をした。
 沸かし直すと社長がお風呂に入っている間に
いつもなら作っておいた夕食を温め直す。
 しかし、その前にスマホと背広のポケットをチェックするため探した。

 いけないと分かってはいるが……。
だがスマホは、いくら探してもなかった。

 あれ?いつもならその辺に置いてあるのにまさか……!?
慌てて浴室の方に向かった。あった…。
 脱衣場を覗くと服の上に置いてあった。

 そういえば、最近社長は、肌身離さずにスマホを
持ち歩くようになっていたわ。
 仕事関係の事だと思い気にして無かったけど
最近やたらにメールをしているみたいだし誰と……?

 まさか、別の女性としょっちゅう連絡を取り合ってたりして……。
 不安に思いながらもスマホを取ろうとした。
するとガシッと社長に腕を掴まれた。いつの間に出たのだろうか!?

「何、人の携帯を勝手に見ようとしているんだ?」

「違います。たまたまこちらに来たらスマホが光り出したから……それで」