「確かに伊崎の奴らならやりかねない。
我々のことを邪魔のように思っていた連中だ!
若。すぐに殴り込みを!?」
「待て。ただ殴り込みをしても、とぼけられるだけだ。
言い逃れされたら疑いは晴れない。
アイツらは、簡単に口を割るような連中ではない。
だから確かな情報と証拠が必要だ!
ここに警察から集められた情報に伊崎組と関わりのある連中をリストアップしてある。
これを洗いざらい見つけ出し、確かな証拠と居場所を白状させろ。
いいな?勝手な行動と失敗は許さん。
分かったのなら心して持ち場に戻れ。解散!!」
鬼龍院さんは、ざわつく幹部達を一斉にまとめた。
若頭としての冷静沈着で圧倒的な迫力に幹部達は返事する。
凄い……あの強面な幹部達をまとめるなんて。
普段の気弱で天使みたいな素顔とは違う。
今は、極道を一斉にまとめる若頭としての姿だった。
「若は、締める時は、締める男です。
だから若頭としての信頼も厚く慕われるのです。
普段のギャップとは想像が出来ないから凄いですよね」
重勝さんの言葉に思わず同意する。
確かに今の鬼龍院さんの信頼度は絶大だろう。
それだけのカリスマ性と迫力があるのだから……。
話し合いが終わると鬼龍院さんは、ハァッ……と深いため息を吐いた。
だか問題は、そこで終わらなかった。
「た、大変です。若……若に話がしたいと
大河内組の若頭がこちらに訪問してきました!!」
下っ端のチンピラが大慌てで鬼龍院さんに報告してきた。
はぁっ!?大河内って……あの大河内!?
大河内組の若頭って……大河内幸也だ。
ゲイで鬼龍院さんを自分のモノにするために私を拉致した。
しかも鬼龍院さんにあんなことやこんなことをした最低な奴じゃない!!
思い出しただけでも腹の立つ。何しに来たのかしら?
まさか今度は、堂々と鬼龍院さんを口説きに来たとか?
やりかねない……絶対にそんなことさせないのだから
「鬼龍院さん、その人のところには、私も行きます!
1対1だなんて危険過ぎますから」
「えっ?あぁ……そうしてもらえると助かるよ!
僕も……不安だから」
いつの間にか素の姿に戻っていた。
天使の時の方が狙われる確率が高そうだから、なおさら危険だ。
やっぱり私が守らなくちゃあ……。
私は、また金属バットを借りて一緒に応接間に移動した。
大河内幸也は、そこに案内されたらしい。
覚悟して中に入ると大河内幸也がソファーに座って待っていた。
しかし隣に可愛い系の美少年と後ろには、イケメンの男性が居てイチャイチャとくっついていた。