自分でもどうしてここまでするのか分からない。
生まれ持った負けず嫌いな性格からなのか、坂下君にもウザいと言われるお節介な正義感なのか。
とにかく自分でもやらないと気が済まなかった。
きっとこの性格だから今までの彼氏は、ドン引きしたのかもしれない。
でも……私だって譲れないものはある。
それが間違っていようが、鬼龍院さんを守るためならやるしかない!!
私は、決意をすると金属バットをギュッと握り締めた。
しばらくすると大河内幸也がよく通っている会員制のクラブに着いた。
車から降りると他の部下達も数十人が別の車から次から次へと降りてきた。
これから乱闘になるかもしれない。
私は、変な脂汗が出てきた。怖いのかもしれない……。
でも今逃げたらきっと私が鬼龍院さんに顔向けが出来ない。よし、女は度胸よ!!
「さぁ、行くわよ!!」
私は、先頭に立ってクラブに乗り込んで行った。
もちろんクラブには、怖くて黒人みたいなボディーガードがたくさん居た。
だが怖さなら鬼龍院組も負けてはいなかった。
鬼龍院組の人達にガードされながら私は、重勝さんと一緒に奥にあるVIPルームに乗り込んだ。
直前にドア側に居たボディーガードの人達に邪魔されそうになるが重勝さんと他の部下達が庇ってくれた。
そして私を中に通してくれた。
申し訳ない気持ちになるがまず先に鬼龍院さんを助けないと……。
私は、強引にドアを開けて乗り込んだ。
「堪忍なさい。鬼龍院さんは、返してもらうわよ!!」
すると衝撃的なシーンに遭遇してしまった。
ベッドにもなりそうな大型なソファーに居たのだが、大河内幸也は、鬼龍院さんを押し倒していた。
しかも鬼龍院さんは、両手を縛られていて動けない状態で、すでに淫らな状態ではないか。
「か、上紗さん……!?」
涙をいっぱいに溜めながら泣きそうな表情で私の名を呼んできた。
その表情は、食べられる寸前の小動物みたいだった。
「ほう……君が乗り込んできたのか!?」