クラスの中に入っていくと生徒達がそれに気づき、賑わしいクラスがさらに賑わしくなった。
 特に女子生徒達だが……。

「ちょっ……椎名先生。誰、誰?そのイケメン?」

「おい。椎名先生がイケメンの彼氏を連れて来たぞ!!」

 ちょっと……騒ぐのはやめて。
お客まで何事かと見ているじゃないのよ!?
 慌てて止めようとするがキャーキャーと悲鳴をあげるし、盛り上がるためさらに恥ずかしくなってきた。
 や、やめて……恥ずかしい。

「すみません。騒がしくて……」

「フフッ……上紗さんは、人気者なんですね。
楽しそうなクラスだ」

 鬼龍院さんは、クスクスと天使の微笑みを見せた。
するとギャーと騒ぎ出す女子生徒達。
 う、うるさい……。

「と、とにかく席に座りましょう」

 恥ずかしいのを必死に隠しながら私は、鬼龍院さんを席に案内した。
 心臓がドキドキと高鳴っていて、こちらもうるさい。
席に着くと鬼龍院さんにメニュー表を見せた。
 オススメは、家庭科の子達がレシピ通りに作ったカップケーキとチーズケーキだ。

「オススメは、カップケーキとかです」

「じゃあ僕は、それで。あとコーヒーを」

 鬼龍院さんは、満足そうに注文した。
やっぱりクラスに彼が居るのは、不思議で仕方がない。
 それにやたらに目立つし……。

 しばらく待っていると何故か坂下君が頼んだカップケーキとコーヒーを持って来るではないか。
 そしてドンッとカップケーキを乗せた皿を鬼龍院さんの前に置くと睨みつけてきた。

「お待たせしました!」